関節7つの精密機能(目次)
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➡関節1)応力を分散させる免震機能-関節包内運動-
➡関節2)振動を吸収する制震機能-脳を守る骨格ダンパー-
➡関節3)衝撃をブロックする断震機能-関節内圧変動システム-
➡関節4)関節軟骨の神秘-“知的衝撃吸収”機能-
➡関節5)関節軟骨の神秘-驚異の摩擦係数-
➡関節6)潤滑オイルの自動交換システム-滑膜B型細胞の“受容分泌吸収”機能-
➡関節7)関節受容器によるフィードフォワード制御
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番外編
➡関節は振動エネルギーを熱エネルギーに変える変換装置!?
➡膝関節の内圧は陽圧?陰圧?

 摩擦の強さを表す指標に“摩擦係数”というものがあります。たとえばテーブルの上に重さ1㎏の氷が乗っています。この氷をヒモで結えて水平方向に引っ張ります。このとき氷が動き始めた際の引張力が同じ1㎏なら、摩擦係数は“1”と表現されます。

 もし半分の500グラムの力で動いたとすると、摩擦係数は0.5です。したがって摩擦係数は低ければ低いほど「摩擦が小さい」と言えます。

 機械工学の領域においては、金属同士で0.30.8、金属とプラスチックで0.10.2くらいが限度で、それ以上の摩擦係数を作り出すことはむつかしいとされていました(当記事が執筆されたのは2011年)。

 しかし昨今の技術革新は目覚ましいものがあります。パソコン内のCDやDVDといったディスクは毎秒20メートルの速さで回転します。そのためディスク表面の信号を読み取るヘッドの摩擦係数はかなり低く抑えられています。

 近年指先に載るほどの小さなディスクドライブ装置が開発され、これを携帯電話の中に入れるため、摩擦係数をさらに小さくする必要性に迫られました。そこでヘッドの表面をナノメートルスケールで凸凹にしたところ、なんと0.02以下まで下げることができたそうです。

 実は純粋なツルツル面よりも電子顕微鏡レベルでの複雑な凸凹があったほうが、摩擦係数を小さくさせることが分かっているのです


 関節軟骨の表面は光沢があってツルツルしており、光学顕微鏡でも“なめらか”に見えます。しかし電子顕微鏡で見ると、表面に凹凸のあるメッシュ構造になっていることが分かります。これは4)“知的衝撃吸収”機能でお話したとおり、軟骨表面がコラーゲン線維の網目組織と保水性能を持つプロテオグリカンの多孔性組織によって作られているためです。つまり先ほどのヘッドと同じようになっているわけです。

 
 それでは関節軟骨の摩擦係数はどのくらいだと思われますか?ここまでの文脈からして「ヘッドの数値(0.02)とかなりいい勝負なのでは?」と予想される方も多いと思います。

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