関節7つの精密機能(目次)
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➡関節1)応力を分散させる免震機能-関節包内運動-
➡関節2)振動を吸収する制震機能-脳を守る骨格ダンパー-
➡関節3)衝撃をブロックする断震機能-関節内圧変動システム-
➡関節4)関節軟骨の神秘-“知的衝撃吸収”機能-
➡関節5)関節軟骨の神秘-驚異の摩擦係数-
➡関節6)潤滑オイルの自動交換システム-滑膜B型細胞の“受容分泌吸収”機能-
➡関節7)関節受容器によるフィードフォワード制御
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番外編
➡関節は振動エネルギーを熱エネルギーに変える変換装置!?
➡膝関節の内圧は陽圧?陰圧?

 水と片栗粉をほぼ均等に混ぜ合わせることで生じる“面白い現象”をご存知ですか?容器の中でそれらをかき混ぜて半液状になっているものを、手にすくって強く握りしめると団子のように硬くなり、手のひらを広げると液状に戻って指の隙間から流れ落ちるという現象です。
 

 もっと大規模な仕掛けでは、巨大な水槽の中にそれと同じものを満たしておいて、人がその上を勢いよく走ると、沈まずに渡り切ることができるのに、ゆっくり歩こうとすると沈んでしまいます。

 このように弱い衝撃に対しては軟らかいままで、強い衝撃が加わると硬くなる現象を“ダイラタンシー”と言います。この性質を持ったものはダイラタント流体と呼ばれ、液体と固体粒子の混合物である場合が多く、たとえば砂浜の“濡れた砂”がこれに当たります。
 

 その原理は力が加わることで粒子間の隙間が小さくなると、液体成分が沈降して上側が固体になり、力が解除されると、それによって広がった粒子間に再び液体成分が浸透して元に戻るとういうものです。

 昨今この現象を体現させる画期的な素材がイギリスで開発されました。それが“d3o”というもので、何度かテレビで紹介されているので、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。

 d3oはまるでガムのような質感を持ち、粘土質であるため、ゆっくりと圧迫を加えるとぷにゅーっと凹みますが、カナヅチで叩くとまるで鋼鉄のようにビクともしません。強い力が加わった瞬間だけ硬くなるという性質を利用して、最近ではバイク・自転車・スキー・登山用のプロテクターなどの形で商品化されています。

↓d3o~つまむと軟らかい~ 粘土のように柔らかい↓   

↓d3o~灰皿で叩いた瞬間~ 瞬時に固くなる↓

                    

 d3oの詳細な組成は企業秘密になっていますが、要は「物質を構成する分子同士が自由に動くようになっており、そのため通常は軟性体を示すわけですが、ひとたび強い衝撃が加わると、瞬時に分子同士が手を繋いで結束し、網目構造に変化して衝撃を吸収する弾性体に変化する」というものです。

 分子自らが衝撃の強さを感知して、互いの結束を変化させ、さらに力が解除されると復元することから“intelligent shock absorption”すなわち“知的衝撃吸収”と呼ばれています。

 さて、実は生体のなかにもd3oと同じ機能を持った組織があります。それが関節の中にある骨すなわち“関節軟骨”です。成人の関節軟骨は厚さ2~5ミリほどで、やや青みがかった白色で光沢があり、網目状に広がるコラーゲン線維のなかにプロテオグリカン集合体が埋まっている構造になっています。

 軟骨の構造についてもう少し具体的にイメージするには、大根おろしを作る場面を想像すると分かりやすいでしょう。おろし金でダイコンをすりおろす際、金網の穴の中に大根の繊維質が詰まってしまって、イラっとした経験をお持ちの方は多いと思います。このときのおろし金本体がコラーゲン線維で、穴の中に詰まったダイコンがプロテオグリカンです。コラーゲン線維は軟骨の形状を維持し、プロテオグリカンは高い保水能力を発揮します。

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